~ユニバーサル基板の配線と発振回路を学ぼう~
製作費:491円
・ポイント
①ユニバーサル基板のはんだ付け
②タイマーIC555の仕組みと使い方
③音階と周波数の関係について
・難易度 ★★☆☆☆
・必要な工具
はんだこて&はんだ
ニッパー
ラジオペンチ
【1】概要
今回は、500円でつくれる、簡易的な電子ピアノを製作しましょう。安価ながら、ドレミファソラシドの、8音階鳴らすことができます。最近では珍しくなった、乾電池で動かすタイプです。 回路はタイマーICとして昔から親しまれているNE555を使い、発振回路を構成しています。音は、普通のスピーカーとは違い、圧電スピーカーを使います。これは、電気をあまり使わない方式であるため、電池式にはぴったりです。
ボタンは、安くつくるためにタクトスイッチを使いました。自分好みのボタンに変えてみるのもよいでしょう。
ユニバーサル基板のはんだ付けや、基本的な発振回路の原理が学べます。是非、製作してみましょう。
【2】タイマーIC 555とは
タイマーIC555とは、電気を流したり止めたりする動作を周期的に行う(発振動作)ことができるICです。発振の周期をすごく短くすれば(1周期0.001秒とか)、スピーカーで音を鳴らすことができます。また、周期をすごく長くする(1周期100秒とか)にすれば、100秒のタイマーを作ることができます。
周期の長さは、接続する抵抗とコンデンサの容量できまります。今回のピアノは、押すボタンによって、接続される抵抗が変わります。この抵抗値をそれぞれの音階にあわせて調整することでちょうどよい音階で音をならすことができるのです。
【3】使用する各部品
タクトスイッチ
まさにピアノの鍵盤にあたるところです。ボタンは、まともなものを買えば100円以上はしてしまいます。そのため、スイッチだけはケチらせてもらいました。電子部品の中では最も安い押しボタンスイッチが、タクトスイッチです。ありとあらゆる家電製品のボタン(とくに押すとカチッていう押し心地があるもの)は、たいていこのタクトスイッチが中に入っています。テレビのリモコンとか洗濯機のボタンとか、ラベルの奥にはこのタクトスイッチがあります。秋月電子で一個10円で売られています。
可変抵抗器
音階のチューニングのために使うのが可変抵抗器です。”ボリューム”という方が親しみやすいかもしれません。音の高さ(周波数)は、555に接続される抵抗値で決まります。そのため、各音階ごとに可変抵抗で抵抗値を調整し、ちょうどよい音階の音にします。
ちなみに抵抗とは、電気をながれにくくする部品です。どれだけながれにくくするかが抵抗値であらわされます。この原理を使って、音量のボリュームなどに応用されています。今回は、あまり深く考えなくてもよいでしょう。
コンデンサ
コンデンサとは、電気を一時的に蓄える部品です。電気を蓄える といえば蓄電池とかを想像されるかもしれませんが、コンデンサは蓄電池にくらべて圧倒的に容量が少ないです。そのかわり、充電する速度、放電する速度がものすごく早いです。瞬時に電気を蓄える(吸収する)ことから、回路内で発生するノイズの吸収に使われます。
蓄電池とコンデンサの違いを簡単に言うのであれば、蓄電池は、電気流すと中の物質が化学反応をし、状態を変えることでエネルギーを貯めます。それに対し、コンデンサは、電気の粒(電子)を直接ため込みます。そのため、蓄える電気の大きさ(エネルギー密度)が大きく、わずかしか貯められません。そのかわり、化学変化をさせる必要がないため、すぐに貯めれて、すぐに放電できます。
抵抗器
抵抗は、電気を流れにくくする部品です。どれくらい流れにくくするかは抵抗値で決まり、単位はΩ(オーム)です。
今回は、音階の調節のために使います。抵抗器には、四本の帯が書かれており、これがカラーコードと呼びます。カラーコードは、抵抗値と誤差を表しており、写真の場合、茶色が1、黒が0、赤が2、金が5%であることから、茶色、黒で、1 0 。赤は、それに加える0の数を表しており、10に0を2つつなげて、1000となります。つまりこれは、1000Ω。1kΩとなるわけです。
圧電スピーカー
圧電スピーカーは、ふつうのスピーカーと動作原理が全く違います。普通のスピーカーは、紙のコーンに電磁石をくっつけ、ここに音声信号(交流)を流すことで、電磁石が磁力で動き音がなります。コイルであるため、抵抗値がとても低く、同じ音量(電圧)でも多くの電流が流れます。
それに対し圧電スピーカーは、電圧を加えると曲がる性質のある金属板を使って音をならします。+-間は、ほぼ絶縁されているため抵抗値が高く、おなじ電圧でも、電流がほとんどながれません。ですので、あっとうてきに低消費電力なスピーカーである反面、金属のいたなので、音質はよくないです。そのため、電子音を鳴らす用途にしか使われません。家電製品のボタンを押したときに鳴る、ピッピッっていう音は、圧電スピーカーで鳴らしています。また、昔の16和音で鳴っていたゲーム機も圧電スピーカーです。
ユニバーサル基板
ユニバーサル基板は、手軽に回路を作ることができる基板です。0.1インチ(2.54mm)間隔で穴が開いており、好きな場所にたくさん電子部品を差し込み、配線することができます。
今回は、秋月電子のc型の基板をつかいました。サイズは、72mm×47mmで、名刺サイズです。
【4】回路図
【5】さっそくつくってみよう
さっそく、電子ピアノを製作していきましょう。
写真10が今回用意する部品です。必要な部品は、下記の部品表に記載しました。
すべて、秋月電子通商でそろう部品です。
[部品表] 電子ピアノの製作
秋月電子の通販か、秋葉原のお店でそろいます。
ユニバーサル基板のように、配線を考えながらはんだづけするものは、まず配置が決まっているものからはんだ付けしていくのが良いです。今回の場合、タクトスイッチの位置が決まってくるので、まずタクトスイッチから並べした。そして、回路図ではタクトスイッチの隣に可変抵抗器がついていることから、写真12のように、隣にならべました。
圧電スピーカーをどこにおくか考え、写真13のように左側に配置しました。別にどちら側でもよかったんですけどね。すると、残りの回路は必然的に右側に決まってきますので、写真14のように配置しました。タイマーICの向きは、回路図では、タクトスイッチにつながるのが7pin 6pinであるため、5~8pin側がタクトスイッチに向くように配置しました。
写真15が、裏面の配線です。
ユニバーサル基板の配線に関しては、今度記事にまとめてみたいと思います。
村田製作所のホームページにわかりやすい例が出ていました。
ユニバーサル基板の配線は、抵抗のリードの切れ端などをうまく活用するとよいでしょう。
圧電素子は、赤い線が+、黒い線が-です。回路図のとおり、555の3ピン(OUT)に黒い線。電源の+に赤い線を接続。
電池BOXは、二つ直列に接続します。
使用するのは、2個用の電池BOXを二つ使うため、写真18のように、片方の赤ともう片方の黒をつないで作ります。
基板の四隅に、樹脂のスペーサを留めます。
スペーサの反対側には電池BOXを固定して完成です。
部品表
合計金額;491円
記号 | 部品名 | 部品の内容 | 使用数[個] | 購入数[袋] | 価格(円) | 店舗名 | 通販サイト | データシート | |
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□ | SP1 | 圧電サウンダ | SPT08 | 1 | 1 | 50 | 秋月電子通商 | 通販リンク | データシート |
□ | U1 | IC | タイマーIC 555 | 1 | 1 | 35 | 秋月電子通商 | 通販リンク | データシート |
□ | C1 | コンデンサ | 0.01μF | 1 | 1 | 15 | 秋月電子通商 | “通販リンク “ | データシート |
□ | C2 | 電解コンデンサ | 1uF50V | 1 | 1 | 10 | 秋月電子通商 | 通販リンク | データシート |
□ | R1 | 抵抗 | 1kΩ 1/4W | 1 | 1 | 1 | 秋月電子通商 | “通販リンク “ | “データシート “ |
□ | VR1~VR8 | 可変抵抗 | 10kΩ(B) (ツバ無し) | 8 | 8 | 160 | 秋月電子通商 | 通販リンク | データシート |
□ | SW | スイッチ | スライドスイッチ 3P | 1 | 1 | 20 | 秋月電子通商 | 通販リンク | データシート |
□ | SW1~SW8 | スイッチ | タクトスイッチ(廉価版) | 8 | 8 | 40 | aitendo | 通販リンク | – |
□ | V1,V2 | 電池BOX | 単三2本用 | 2 | 2 | 100 | 秋月電子通商 | 通販リンク | – |
□ | BD1 | 基板 | C型基板 (片面) | 1 | 1 | 60 | 秋月電子通商 | 通販リンク | データシート |